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  整合   ミキサー   ダイオード   逆回復時間  アドミッタンス  100dB  CRL  巻数比 

ゲイン   周波数変動    最大定格    最大定格(2)   スミスチャート       変調と復調

信号源の不整合   デジタル信号の伝送  


Qというのはいろんな意味で用いられるが、ここで言うQとはL、C、などの単体LCなどの共振回路の性能を表わす、無負荷Q、負荷Qのことである。
今の高周波回路はあまりLCの共振回路の選択度特性に依存しない、SAW、セラミック、Xtalなどのフィルターにまかせてしまう設計方法が主流である。 とはいえ全くLCに依存しないわけでもなく、これを考慮するのが本来の高周波設計というものである。
やたら調整のシビアな同調回路、回してもほとんど変化のないもの、フィルターの前後でマッチングが崩れたりするものなど覚えがないだろうか? 
LCの共振回路を入れるのは、何らかの選択特性を持たせたいからであり、この設計により大きくスプリアスなどが変化する。 すなわちうまく設計すれば効率の良いものとなるはずである。昔の設計者は今のようなフィルターを期待できなかったから、この辺りを非常によく考えていた。 古い参考書を見れば良く分かると思う。

通常Qと言えば無負荷Q(Qu)を指すが、これは例えばコイルなら巻き線抵抗などがありωL/Rで表わされる。 この辺りはご存知だろう。 LCの共振回路においてはどうなるか? 

共振周波数においてはωL=1/(ωC)である(共振条件)  この共振時に外から見たインピーダンスは並列共振なら無限大、 直列共振なら0Ωであるが、実際はこのQで制限される。 すなわち並列共振は Qで制限され、

並列共振は QxωL(またはQ/(ωC))。
直列共振は ωL/Q(または1/ωCQ) の純抵抗とみなせる。

共振回路には別の回路が接続されるから、実際のQはさらにこれらに大きく制限される。 並列共振時の純抵抗分に負荷として、 並列(直列共振時は直列)に抵抗等が入ると、このインピーダンスが制限されてしまうから、選択特性が落ちる事になる。 すなわちこの場合の負荷Qを考えなければならない。

負荷Q(QLで表わす)はこの純抵抗分と接続された回路との並列されたものを、同調時のLまたはCのインピーダンスで割れば良い。(直列共振はその逆)

Qがわかると何がわかるのかと言えば、その単同調回路の選択特性がわかる。詳しくは省略しますが、 その同調回路の3dB落ちの帯域幅は

Bw=Fc/QL

これは例えばQL=100ならば、Fc=100MHzで帯域幅Bwは1MHz、鋭い特性であるが、非常にクリチカル、QL=1ならこの同調回路はほとんど選択度がない。 調整しても変化がない。簡単に選択特性を算出したい場合は、私の電気設計ツールのダウンロードをして参照して欲しい。(ロータスのファイル)

選択特性を上げるには、大きな無負荷Qのコイルを用い軽い負荷で使うのである。実用的にはQL=20程度であり、それ以上は温度変動なども考慮すると難しくなる。 これを増幅段の前後に入れれば単独の2倍の切れ方となる。2つをそのまま重ねて疎に結合すると複同調回路となる。 このままで負荷Qが重くなる場合は、コイルのタップを使う事になる。別にC側でタップを取る方法もあるが今回は省略する。 自分で調べていただくか、問い合わせてください。
Qが低くても気にしなかったり、マッチングを気にしないようなら別ですが・・。 

 

整合 03/12

整合の意味について。いくつか誤解があるようなので書いてみます。

一般に整合とはある電力源に対し、その持っている電力を最大に取り出す条件に合わせることを言う。
信号源にインピーダンスが存在し、それから最大電力を取り出したい時、信号源と負荷の関係は実数部を合わせ、虚数部を打ち消す様にする。 すなわちこの両者を流れる電流ループは純抵抗分とならなければならない。 そのためには信号源の出力端から、信号源インピーダンスと負荷インピーダンスの両方を見たとき、ちょうど複素共役(抵抗分が同一でリアクタンスがちょうど逆)、 ミラーの関係でなければ複素成分は打ち消されない。 この時最大電力が供給されるのである。

複素成分がなくても、抵抗分が違っていれば、ちょうど直流負荷を考えたときと同じであり、抵抗の大小で電圧/電流が変化し、 最大電力になる条件が信号源抵抗分と負荷抵抗が同じ時である。  この時の状態は、負荷端での電圧は信号源が負荷オープン状態の時のちょうど1/2となる。(整合時の条件)
負荷にリアクタンス分が存在しこれを整合させた場合、この負荷を流れる電流は実数部のみで決まるが、 電圧的には抵抗分x電流とリアクタンス分x電流のベクトル和となり、場合によっては非常に高い電圧となる。
例として低いバンドでホイップなどを強制的にマッチングを取った場合を考えてみよう。
送信機側のインピーダンスは50Ω純抵抗だから、100w程度であれば70Vぐらいであろう。 送信機とマッチングセクションの入力部はこの程度である。 ところがマッチングセクションの先、アンテナの入力インピーダンスは接地抵抗が低ければ非常に低い抵抗分と大きな容量性のリアクタンスを持つ。 整合させるにはこの前後がミラーの関係、すなわち低い抵抗分にあわせ、高いリアクタンス分を打ち消さなければならない。 ということはこの部分を流れる電流は低い抵抗成分で多くなり、リアクタンス分x電流の複素電圧分が非常に高くなる。 このため場合によっては、整合時にアンテナ入力端が数千Vという非常に高い電圧になるのである。

整合しなかった時、SWRが立った時はどうなるか、負荷端の電圧はそのインピーダンスによって電圧が変わる。 もちろんリアクタンス成分によって電圧と電流の位相は一致しない。そこから同軸などで引っ張った時は定在波が乗るといわれる。 この定在波の最大値を最小値で割った値がSWR(Standing Wave Ratio)と呼ばれている。また別の言い方で反射係数というのがある。
この両者の関係は本に式で書かれるとなにやら難しいが、アマチュア無線をやってるとこの換算がすぐ判る。 目の前のSWR計の目盛りを見て欲しい。 SWR=3のところはどうなっているか?  目盛りのちょうど半分、すなわち電圧にして50%(反射係数0.5)、反射電力は2乗して25%となる。 定在波の最大電圧は位相が一致して反射係数を足した物、最小電圧は位相が逆で引いた物 すなわち

SWR= (1+0.5)/(1−0.5)=3

の関係そのものではないか。 また信号源と負荷の両者が純抵抗であれば、抵抗の比がSWRでもある。

直流電圧に対しての整合ということを考えてみよう。SWRを考えてもこの式は成り立つ。 整合すればちょうど電圧が1/2になるのに対して、抵抗分が合わないとこの電圧は変化する事になる。それはちょうどSWRがたった時と同じである。 すなわち3倍の抵抗分(SWR=3)なら反射分は50% 電圧は0.5*0.5(元の電圧が1/2になってるから)。 答えは0.25または0.75となる。 違うのは直流には位相がないために、 同軸で引っぱっても定在波が存在しないで一定な電圧ということである。

直流電源を考えてみよう。直流電源は機器に必要な電圧と電流を供給する物である。 必要な電圧は一定であり電流は一定しない、そのため電源の出力インピーダンスは可能な限り低くして、負荷に対しては整合などということは考えない。 電源が負荷に対して整合したらどうなるか? 出力電圧が1/2に落ちてしまうのである。こんな電源は使えない。 だいいち電源に整合が必要ならその電源しか使えなくなる。
またOTLの出力アンプが直流電源と同じ考え方である。すなわち負荷(スピーカー)に電圧を供給する。電流は負荷インピーダンスによって変化する。 このため負荷のスピーカーのインピーダンスにより、取り出せる電力が変化する。 インピーダンスが1/2になればほぼ2倍の電流が流れ、出力電力として2倍取り出せることになる。(同じもので倍の出力となる)  だからスピーカー出力のインピーダンスは低くする方が定格上は有利である。

高周波の大電力のパワーアンプを考えてみる。ここでは良く整合させるなどと言われているが、実はここも直流電源に近い考え方で必要なパワーを得ている。 (周波数が高い場合等でもともと出力が低い素子はそうでない事もある) 
パワーアンプ段の設計でその効率を考えた場合、一番出力効率が良いのは、かかっている直流電圧を最大限に利用することである。 コイルやトランス負荷の場合、高周波出力電圧はかかっている直流電圧の約2倍がその最大振幅である。 この最大電圧振幅と出力電力で高周波電流が決定される。すなわち増幅段の最適負荷インピーダンスが決まるのである。 決して増幅段自身の出力インピーダンスに整合を取っているわけではない。取り出すパワーに応じて負荷抵抗を合わせ、変換しているだけである。 取りだす電圧が一定ならば負荷の抵抗値で取り出せる電力が決まっているから、それに合った負荷抵抗に設計しているに過ぎない。
Vccx2がP−P電圧ならばその実効電圧は約1/3 (ルート1/2)xVccである。 R=E^2/P(オームの法則)に当てはめれば 0.5xVcc^2/P。 すなわちよく言われる終段出力の設計インピーダンスの公式 Vc^2/(2xPo) そのものになる。 ただしTRの出力容量などが問題になるので、それはキャンセルできるように別に考える。効率を考えなければ高いパワーで設計しても構わない。 100Wの設計で10W出すようなものである。効率が非常に悪い。 どんどん負荷インピ−ダンスを下げていって、 そのTR自身にどんどん電流を流して電力を取り出す。
こう書くと、「ではアンテナのインピーダンスを下げるとパワーが大きくなると考えるものである。その通りである。 しかしパワーが低いうちはいいが、パワーが大きくなると電流が増えるためここで制限がかかる。 直流電源と同じで出力インピーダンスそのものは低いが、素子から取り出せる最大電力、電流などとはまた別の話である。 そのためパワーが大きくなったりして壊れないよう、SWRや電流などの検出による制限回路を用いて取り出す出力電力を制限しているのである。

 

ミキサー 03/18

送受信機などあちこちで使われているミキサーの動作について。今回はちょっと難しい話かもしれない。

ミキサーでは加えられた周波数の和または差の周波数を取り出す。ミキサーは出てくる周波数成分から考えると、これは足し算の動作と思われがちだが、 この動作は足し算ではなくかけ算動作である。 増幅器やパッシブなダイオードの非直線部分を用い、局発によりその非直線部分(すなわち歪み)を動作、またはスイッチングの動作をさせることにより、 入力信号に対する増幅度に非線形の動作をさせる。この時の2次歪みを生じる部分により、和または差の周波数を得る。

増幅器やミキサーの入出力の関係を式で表した場合多項式となるが、1次の項は直線部分、2次以上の項は曲線(歪みを生じる部分)である。
2つの周波数を入力した場合、1次の項はそれぞれの元の周波数成分、2次以上の項で生じるものは2つの周波数成分同士の積と他の成分とに分けられる。 高校程度で出てきた三角関数の公式を思い出して欲しい。
非常におおざっぱであるが三角関数同士の積はその角周波数の和差になる変換公式、すなわち和または差の周波数成分を生じるのである。 ある本に「ダイオードのDBMはそのスイッチング動作により和差の周波数を得る。歪みにより得ているのではない」と書かれてあったが厳密には間違いである。
スイッチング動作、入力信号に対しての動作自身が増幅度の変化、すなわち歪みと同等の成分を生じさせる動作そのものだからである。 スイッチング動作ができるのは入出力が直線でないからである。(検波整流動作)  この時回路をうまく工夫して元の周波数成分は打ち消して出ないようにして、和差成分のみを取り出す。これがDBMの動作原理である。

SSBやAMのモードはこの乗算動作そのもので成り立っている。 変調信号と局発の乗算で生じた成分のうちの必要なもの、SSBでは片方の周波数成分 (サイドバンド)、AMでは両方のサイドバンド成分と局発に相当する成分を電波として出しているに過ぎない。 受信はやはりミキサーによる乗算動作で元の成分を得る(わり算=かけ算の逆数)。 AMの受信はおかしいと思うかもしれないが、これは乗算に必要な成分が信号自身に持っている(搬送波周波数)ために、 検波整流という動作そのものが搬送波によるスイッチングの動作となり、ミキサーと同じ動作を得ているからである。

またDS(Direct Sequense)方式のSS(Spread Spectrum)がそうである。 この場合データ信号、局発ともに1と0のみの世界であるが、 Exclusive ORなどで掛け合わせ、DSの成分を得る。 局発に相当するのが拡散符号などであるが、 これはデータ信号を効率的にばらまくための工夫をしているに過ぎない。
データは拡散符号で乗算され、その周波数比(チップレート )で繰り返されることになる。 この拡散符号自身に周期性があるから、受信復調時にもとの信号に戻すためにフィルターをかける事ができる。 これは周波数的フィルターではなく時間的フィルターである。 (周波数も時間も結果的には同じ事である)  あとは生成された拡散信号をミキサーで高周波の目的周波数に変換(これも乗算)ている。 以前このDSの乗算動作についてある場所で討論したことがあるが、結局は理解してもらえなかった。

 

ダイオード 02/26

ダイオードは基本である。そのあまり知られていない実態、動作について。信号の切り替えにダイオードスイッチがよく使われるが、 これに適したダイオードとは何か。

通常考えられるのは、ON時の動作抵抗。OFF時の容量(アイソレーション)である。 高周波のバンドスイッチに使われる小ダイオードは、小信号の切り替えに適している。 高周波電力の切り替えには良く電力用PINダイオードが使用される。 ここまではご存じの方も多いだろう。それではショットキーダイオードを使えばどうだろう。2つの要件は満たしてる。 しかし実際には適さない。 何が違うのであろうか。

高周波電力切り替えに使われるPINダイオードだが、このダイオードに流すバイアスの直流電流は通常数十mAから2-300mA程度である。 対してこれに通す高周波電力は50Wもざらである。50Ωの負荷に流れる高周波電流は、50Wであればちょうど1A、ピークで約1.4A、 どうして整流しないのであろうか?
答えはダイオードの動作にある。ダイオードには少数キャリア蓄積効果というのがあって、交流を加えてその電圧が反転してもしばらくは転流しないのである。 これはスイッチング電源などで特に問題になる逆回復時間がそれである。 周波数が高くなるとダイオードは動作が間に合わなくなり、やがて整流作用がなくなる。
動作が間に合わないで少数キャリアが蓄積されている間は、ちょうどコンデンサのような状態になり、遙かに大きな高周波電流を通しても通過してしまうのである。 決してダイオードの動作曲線上で動作しているわけではない。動作曲線上でばその非直線性のために歪みを生じるのである。

PINダイオードが使われる理由は先の2条件に比較的適していることと、逆回復時間が比較的遅いことにある。 条件さえあえばPINでなくてもなんでもいい。V/UHF帯で必要な条件に合ってるだけのことである。
周波数が低くなるとひずみやすい理由は、この逆回復時間と通過する周波数の関係にある。 したがって大電力になるほど、周波数が低いほど、逆回復時間の大きいものが歪みに対して有利になる。
ショットキーはスイッチング電源に用いられるように、逆回復時間が早い。 そのためミクサーなどの信号の高周波的スイッチや検波には適しているが、バンド切り替えのような静的な動作には適しない。

以前、外国製のダイオードをフロントエンドに使うことがはやったようだが、本当に適していたのかどうか実験していないので私は知らない。 SGなどを使わないで簡単に測定して判断する方法をいずれ書くので、いいダイオードが見つかれば私にも教えて欲しい。 

 

逆回復時間 03/10

ダイオードで述べた、逆回復時間を測定する方法について。
簡単に言うとスイッチングレギュレーターなどで問題になる整流時の動作を再現して、時間的に見ればよい。 用意する物は、矩形波の出る低周波発振器、抵抗、オシロスコープだけである。

接続は  低周波発振器 -- 被測定ダイオード -- 負荷抵抗(数KΩ程度)  

発振器は数kHzから数十kHz(適当)の矩形波にして、出力レベルはできるだけ高く(2-3VP-P以上)する。これで整流動作を確認してみる。 オシロは負荷抵抗またはダイオードの両端の電圧を見る。入力の矩形波でトリガをかけるといい。 ダイオードは最初は一般電源整流用のものが現象がよくわかっていい。具体的な波形は書かないが、 思っていた理想的な整流動作とは違う物が見られる。やってみられるといい。

ダイオードがONからOFFになった瞬間の動作がこのダイオードの逆回復時の動作である。この時間を見ているとダイオードの速度がよくわかる。 遅い物ほど低い周波数でのバンドスイッチに適している。すなわち整流動作が間に合わなくなり、結果として歪みなく大きな信号を伝達できるのである。
大きなダイオードにはアイソレーションの問題があるが、電源整流用のものは順方向のON抵抗も小さいから、ラジオ帯や1.9MHzなどの低いバンドには適している。 条件を一定にしていろんなものを比べてみるといい。定量的ではないが、比較判断は瞬時にできる。

一般の小信号バンド切り替えのダイオードの場合はこの時間がほとんど見えないが、それでも多少とも見える物がある。
安物のオシロでも見ることができるもの、これがHF帯での小信号バンドスイッチの最低条件である。これにできるだけ直流バイアス電流を流す。
大電力の高周波信号を通したい場合は、やはり一般整流用のダイオードそれも保守廃品になるような古いもの、または電力用のPINダイオードとなる。 最近の整流ダイオードは速くなってきたのである。
周波数に反比例し、電力に応じてかなりの逆回復時間を必要とする。足りない場合は整流作用が始まり、 まず高調波が増え(歪みが増える)、やがて整流し、電力損となる。

必要な容量は通す高周波電流(例えば10Wなら0.5A、100Wなら1.4A)が充分通せるもの。ピーク電流にも注意。動作抵抗による損失は、 例えば1Ωで50Ωのラインなら2%の電力に充分耐える物が必要である。ただし整流動作を始めたらこんな電力容量ではとても済まない。

この方法で片っ端から測ってみたことがあるが、小信号のバンドスイッチダイオードでも使える物はかなり少ない。 また整流ダイオードを測ってみると、一般に日本製品がロット毎のバラツキはあるが比較的揃っているのに対し、 外国製のダイオードは非常にバラツキが大きく何倍にもばらついた。最近の部品はどうか知らないが、だから私は外国製の部品はあまり信用しない。

アイソレーションや動作抵抗が低い、動作の遅い、いいダイオードが見つかったら、直流バイアス電流をできるだけ流すこと。 これにより逆回復時間も長くなるし、ON時の動作抵抗も下がる。歪みもロスも発熱も減る。
あとは私にも報告して欲しい。

 

アドミッタンス 04/27

負荷や整合ということを考えたとき、一般に我々は慣れたインピーダンスで考えることが多い。
しかし回路というのはその形態が様々である。たとえばある負荷にこれと並列にC、L、Rなどを入れることを考えたとき、 インピーダンスで考えると、例の並列の計算式(分数の足し算の逆数)で計算しなければならない。 虚数が入っているのでこれはさらに展開すると面倒な計算式となる。

しかしこの負荷を最初からアドミッタンス(インピーダンスの逆数)で表し、並列にはいる素子のおのおのをアドミッタンスで表せば、 実数と虚数にわけてこれらすべてを和差で計算することができる。すなわち計算が非常に楽になるのである。

このアドミッタンスはインピーダンスの逆数で計算してもいいし、もっと簡単にはたとえばイミッタンスチャートで目盛りの換算、 あるいはスミスチャートを用いて180度の点対称の位置の目盛りをみてもいい。 もともと高周波の素子などの値はアバウトだから、目盛り換算程度の精度で十分なことがほとんどである。
トランジスタなどではh、y、Sのパラメーターが周波数により使い分けられている。トランジスタ等の増幅素子は基本的には電流増幅素子である。 (FETなどは電圧制御電流増幅) したがってこれらの動作を考えたとき、電流源、アドミッタンスで考えた方が非常に都合がよい。 低周波領域では素子のリアクタンスはほとんど問題ならないから、これらは実数部だけでよいから、 入力を実数で表したhパラメータ(h:Hybrid、混合)が用いられる。

VHF帯ではyパラメータがアドミッタンスと電流であらわすそのものである。 入出力は同調回路などが並列に入ったりするためアドミッタンスで計算すると都合がよい。ゲインも負荷と順方向伝達アドミッタンスから計算できる
UHF帯になると素子そのもののゲイン、インピーダンス等が低下して、ゲインをとるためには入出力と素子との整合ということを抜きにしては考えられなくなる。 このため通常50Ωを基準としたSパラメータ(反射係数と位相角)で表す。
我々はいつもインピーダンスで考えることが多いと思うが、こういうところ(並列部分)はアドミッタンスで考える方がはるかに簡単になるのである。

 

100dB 06/03

個々の特性ではなく一般論であるが、100dBという値を得る事は限界に近い事が多い。

イメージ的には 40dB =なんとか、60dB= 及第 80dB=優秀、100dB=限界点といった感じである。
アマチュア無線機で100dBというと、メーカー発表の受信ダイナミックレンジが有名であろう。 他の特性でも上記のイメージが当てはまるところが多々ある。カタログ等にはあまり発表されていない部分で、 限界に近い100dBを要求されているところが結構多くある。実際に該当する回路を見ると工夫されているのがわかる。いくつかあげてみたいと思う。

受信ダイナミックレンジ。いまや有名であり古くは60dB程度のものや、優秀でも80dB程度であったが、 最近のものは一部のモービル機を除きほとんどのメーカーが100dB超を唄っている。実際にローバンドでは60dBなどでは使い物にならない。 100dBでもATTが欲しい時がある。

イメージ比。特にアップコンバージョンのHF機は、そのイメージが2mやFMラジオ帯にある。 受信機のノイズフロアを-130dBmとすればカタログ値の70dBや80dB程度のイメージ比では、-50dBm以下、Sメーターでいうと S9+20dB程度の信号でイメージが聞こえることになるため一般に100dB以上必要となる。 IF妨害も同様であるがこれは固定周波数であるためにあまり問題がでないが、それでも逆に命中したときは逃げられない。

フィルターアイソレーション。選択度を決めるIFのフィルターの帯域外の減衰量は、最低70dB程度から、優秀なフィルターで90-100dBに及ぶ。 実装時にこのフィルターの性能を出すためには、入出力間で90-100dB以上のアイソレーションを必要とする。 さらにAM/SSB/CWのモードでダイオードスイッチなど切り替えるとすれば、狭い帯域フィルター使用時は、 使わない広いフィルターをそれ以上のアイソレーションで分離しなければならない。 低いと通り抜け現象(CWなどで離調しても高い音でずっと信号が聞こえる)となる。一般にルーフィングフィルターなどでも80dB程度以上は必要である。

AGCダイナミックレンジ。 メーターが振れ始める信号から強力な信号まで100dB以上の制御が必要である。 足らないと強力な信号を受信したときAGCの制御が効かない。Sメーターで見ているとある強度以上で急にメーターの振れが伸びる。 音声などの歪みで聞こえる。(AGCと関係するメーターも同じ、S0から 9+60dBまでは90dB程度ある)

局発漏洩。DBM使用などで+10dBmなどの大電力となっている。 法的にはアンテナ端4000uuWであるから-54dBmで65dB抑えればいいことになるが、このレベルは例えば微弱無線機に近いレベルであり、 これに大きなアンテナが付いたものと考えてみるといい。アップコンバージョンのHF受信機では第1局発がFM、TV帯であり、 その高調波などで近くのTVなどに妨害がでる。-80dBm程度は必要である。

CWキーイング CWのキーアップ時の漏れ。70や80dBではローカル局でスペースウエーブとして聞こえてしまう。

送信機のS/N・C/N 送信機の広帯域アンプで述べたように-90から100dBm/Hz以上欲しい。 これは3KHz帯域幅換算で-65dBmから-55dBmである。送信パワーに対して100dB以上落とすことが必要である。

ノイズブランカ  パルス性のノイズに対してゲートを閉じてノイズを通さないようにするが、 メーターはあまり振っていなくてもパルス性のノイズはレベルが高い。 このゲートのアイソレーションが例えば60dB程度だと、ピークが-70dBm(Sメーターで9強)以上のノイズがブランク時に残って聞こえてくる。

 

CRL 07/03

抵抗、コンデンサ、インダクタなどはそれぞれの目的容量以外に、寄生素子を持つ。 これらの素子の高周波数での特性はこの寄生成分によって決定されることが多い、これら寄生成分を含んだもっとも簡単な等価回路で表すと、 目的素子に直列に入るリード線などのインダクタンスL、さらに両端に並列に入る浮遊容量Cとなる。 これらの寄生成分による影響はそれぞれの素子の種類によって、その影響が変わってくる。

インダクタに直列にはいる寄生L成分は、素子の誤差に影響する。 これはリード線の長さによっても影響するから、特に低い値のものではこの影響が大きくなり、大きな誤差となって現れてくる。 高い周波数で固定インダクタなどによるフィルターを作る場合は要注意である。 製造メーカーでさえ測定器が変わると、公称値を変えたりしているぐらいである。
並列に入る浮遊容量Cは、目的Lとの間で並列共振回路を形成する事になる。 インダクタによるリアクタンス値は周波数に比例するが、この自己共振周波数においてはインピーダンスが最大になり これ以上の周波数では逆にインピーダンスが下がってくる。 すなわち増幅回路などでL負荷で設計する場合は、自己共振周波数以上で負荷インピーダンスが下がったり、 自己共振周波数近辺ではばらついたりしてゲイン変動のもとになったりするから、通常共振周波数以下で設計することになる。 共振周波数以上では、リアクタンスは反転する事になる。

巻き線抵抗やリード線の抵抗がコイルのQを下げる原因となる。Qが下がると選択特性が落ちる。 固定インダクタによるLCフィルタなどでは損失が増えたり、設計通りの特性が出なくなったりする原因となる

コンデンサの場合に一番問題になるのは直列のL成分である。 このL成分と容量値Cとの間で直列共振回路を形成するために、インピーダンスが非常に下がる自己共振周波数がある。 これはコンデンサのリード長でも大きく影響する。一般にチップコンデンサはL成分が小さいために高い周波数まで使用できるが、 リードのあるコンデンサでは比較的低い周波数に共振点がある。 プリント基板上に実装した場合のリード線長を想定して、使用周波数に対してインピーダンスがもっとも低くなるような容量を選ぶべである。 当然メーカーや、種類によっても違ってくる。これは製造機器メーカーのノウハウでもある。 最近のチップコンデンサなどではリードの影響も少ないので、コンデンサメーカーなどではこの特性を公表していることも多い。

抵抗の場合は抵抗値により影響が違ってくる。 抵抗値が高い場合は両端の間に入る浮遊容量のために高域でインピーダンスが下がってくる、浮遊容量が一定だとすれば抵抗値が高いほど影響が大きい。 また抵抗値が低いと浮遊容量の影響は減ってくるが、こんどは直列の寄生インダクタンスによる高周波リアクタンスの影響が、抵抗値に対して無視できなくなり、 インピーダンスとしては上昇する。 この両者の影響がもっとも少なく周波数特性の良い値が数十Ωから100Ω程度の抵抗値であると言われている。 一般に高周波でよく使われる定格インピーダンス50Ωというのは、こういった意味からも非常に都合の良い値と言うことができる。
したがって抵抗を使って、その周波数特性を考えた場合、低抵抗は並列、高抵抗は直列にして目的抵抗値を得ると周波数特性を伸ばすことができる。

 

巻数比 07/09

受信機や送信機において、FETによる高周波増幅回路はよく用いられる。 FETによる利点は比較的低い周波数においては入力インピーダンスが非常に高く、電圧入力、電流出力の増幅回路として設計しやすくなる。
入力側はFETの入力インピーダンスが極めて高いので、コイルの巻き数比により信号が昇圧される。 FETの入力容量による同調回路への影響はあるが、同調コンデンサを減らしてキャンセルしたり、影響のない範囲で設計する。 フィルターなどにマッチングさせる必要があるときは、そのことも設計で考慮する。
また出力側はFETから見た負荷インピーダンスと相互コンダクタンス(yfs、順方向伝達アドミッタンス)の積で電圧ゲインが決定され、 さらに出力側コイルの巻数比で降圧される。 コイルの2次側が一定であれば、FETの負荷インピーダンスは巻数比の2乗に比例するため、結果として巻数比そのもので出力側のゲインが決定する事になる。 しかし1段での安定に取り得る最大利得は帰還容量などで制限されてしまうので、入出力両方の巻数比を適当に選んでこの回路全体の利得を決定することになる。 入力のステップアップを大きく取れば、出力側は比を小さくするといった具合である。 では入出力の巻き数比はどういう基準、分配で決定すればいいのであろうか?
小信号のみの飽和の心配のない増幅回路においては、入出力のどちらでゲインをとってもあまり大差がない。 しかしフロントエンドの様にレベル差が大きいところや、比較的レベルが高くなるところではこの巻き数比によるゲイン配分、 特にドレイン出力側の巻き数比で大きな差が出てくる。例を挙げて説明してみよう。

NFが低く、比較的高い3rdIPで良く知られている2SK125(シリコニクスU-310のソニー版とでも言おうか)がある。 ただしすでに廃品となっている。
このFETは通常ゲート接地で使われることが多く、定格もゲート接地で書かれてある。 ソース入力のインピーダンスは50Ωに近いため(SWR約1.5)、入力の巻き数比は考えなくても良い。そのため出力側だけで考えてみる。 一般に良く使われているバイアスの条件は、ソース抵抗220Ω、ドレイン電流は約10mA、ドレインの電圧は12V程度である。従って、ドレイン-ソース間電圧 Vdsは 12V - (220ΩX10mA)=約10Vである。

非常におおざっぱな計算になることをお断りしておく。
このFETのドレイン側の能力を最大限に発揮した場合、出力振幅の最大値は約20V(L負荷ではVdsの倍)、 電流振幅の最大値は20mA(直流バイアス条件の2倍、ドレイン電流特性が完全直線の場合)である。 これより電圧、電流の振幅のどちらが大きくなっても出力は歪むことになる。 従ってこの時のFETから取り出せる最大電力は、電圧、電流それぞれの実効値はピークの約1/3であるから
 20V/3 x 20mA/3 = 約40mW = 約+16dBm となる
また、その時のインピーダンスは 20V/20mA =約1KΩ となる。
すなわち負荷インピーダンスを約1KΩ前後とすると、最大の電力が取れる事になる。 これよりインピーダンスが変化すると、電圧、電流のどちらかが早く歪むことになる。 従って出力側の巻数比は4:1 (800Ω)または 5:1(1.25K) が最適である計算となる。2SK125の場合はこの条件で約10dB前後のゲインが取れる。 また取り出せる電力が約+16dBmであるから、3rdIPは+20-30dBmであることが予想される。 従って入力IPはここからゲインを引いて、+10-20dBmとなるのである。 実際にはもう少しドレイン電流を多めにバイアスして、取り出せる電力とゲインを多くし、巻数比4:1程度で設計する事がいいのではないだろうか。

一般に受信機においては、強入力信号での動作を考えた場合、入力換算の3rdIPを考えるが、 増幅回路単体で考えるならば出力側振幅で飽和する事が多いため、 出力側IPを基準に考えた方が考えやすい。出力IPからゲインを引いた値が入力IPとなる。 ゲインを取れば取るほど入力IPは低下する
飽和の危険性のある増幅回路では、まず出力側での電流、電圧のリニア範囲での動作を考えて出力側巻き数比を決定し、 それから入力側巻数比でゲインを決定すれば良い。 よく使われる条件(電源電圧8V、数mA程度)では、1:4から1:7程度の巻き数比が一番この条件に近くなる。 これはRF AMPのICなどの同調回路の巻数比も同じように考えることができる。

 

ゲイン 07/15

上記(巻数比)のFETと条件から取れるゲインを推測してみる。

データシートから見ると、このFETの順伝達アドミッタンスyfsのtypical値は14mSである。
これから計算すると出力側巻き数比 4:1のコイルでは 

yfs x Zout / n = 14mS x 50Ωx4^2 / 4 = 2.8倍 = 8.9dB 

さらに入力側は70Ω程度で、ミスマッチによる1.5dB程度の電圧上昇があるから 計10dB強程度と計算できる。
同様に5:1では 14mS X 50 X5 = 10.9dB  計約12.5dBとなる。 ゲート接地ではなく、ソース接地で使った場合は、これにゲート入力側の巻き数比による昇圧が加わり、ゲインがさらに取れる計算となる。 (実際には安定に取れるゲインの制限がある)

低い周波数では無視したが、周波数が高くゲインが高くなってくると、 入出力のアドミッタンスがそれぞれゲインを制限する要素となって効いてくる。 巻数比による負荷と、出力アドミッタンスとが整合した時が出力側で取り得る最大ゲインである

このFETで良く使われるパラレル接続の場合は、計算上ゲインはそれぞれ約6dB上昇するが、2個並列で入力側インピーダンスが下がるために、 入力電圧は1.5dB程度下がるから、それぞれ13.5dB と15.5dBとなる。
パラレルの場合、出力側振幅を考えると3:1(約450Ω)がベストの計算となる(10V / 10mAx2 = 500Ω)
この時のゲインは 14mS x 2 x 50 x 3 = 4.2 = 12.5dB 入力のミスマッチを考慮すると約11dBとなる。
プッシュプルの場合は3:3:1でFET1個あたり900Ωで設計するとゲインは同じ計算となる。この時出力IPは2倍(3dB)に上昇する。 しかしこの場合は同時にゲインも上がっているために、入力IPで考えると値としてはほとんど変わらないことになる。 同じゲインを取るなら2個の方が有利である。
後段でのNFとIPを考慮すると、この段でのIPは多少下がっても、ゲインを多めに取ってトータルのNFを下げる設計をする事も多い
電力、ゲインで考えるとパラとプッシュは同じである。 しかしプッシュプルの場合は原理的に偶数次高調波はキャンセルされるから、若干有利かも知れない。
広帯域アンプとして設計した場合、入出力の寄生容量、巻線の寄生容量などが周波数特性を落とす原因となる。
プッシュプルは出力トランス両端のインピーダンスが1.8KΩとなるから、高い周波数帯での巻線間容量がゲインを落とす原因となるために、 パラで使用する方が有利かも知れない。

実際の使用状態ではこれに入出力での損失などが加わり、さらに素子自体のバラツキが加わる。 例えばyfs=14mSとしたがデータシートではminimum値は10mSとある。従ってこれだけでも約3dBの変化がある。 さらにFETは一般に低温でゲインが上がり、高温では下がってくる。これはドレイン電流の曲線が温度により傾斜が変わってくるためである。 一般にFETでは温度による変動は2-4dB程度はざらである。

以上、ゲート接地を中心とした非常にポピュラーで単純な例で示してみた。 J-FETやMOS FETによるIF AMPなどではAGCやALCなどのゲイン調整が加わり、ゲートによる違い、 さらにゲインを大きく変えた場合の動作状態の変化についても考慮する必要がある。 これについてはまたの機会に述べたいと思う。

 

周波数変動 11/09

受信や送信周波数の変動と誤差は避けられない。この2つをごっちゃにされている方が時折いるが、誤差とは目的周波数に対する絶対誤差である。 変動とは例えば単位時間当たりの周波数の変動である。変動の多い物は当然誤差も大きくなるが、誤差が大きくても安定しているものもある。 表示周波数と実周波数がずれているが安定している場合である。例えばFM受信機などで局発周波数が安定していれば周波数変動は少ない。 しかしIFフィルターなどの中心周波数がずれていれば誤差としては大きい。
FMモードの様に周波数誤差に対して帯域幅が広ければあまり問題とはならない。 一般にHF帯のアマチュア無線では、周波数が固定されていないので誤差があっても変動が少なければさして問題にはならない。 しかし1.9MHz帯ではバンドが狭いので絶対値を要求されるし、 固定チャンネルで使用するFM機は低い周波数帯では問題とはならないが、UHF帯などでは誤差が問題となる。 例えば1200MHz帯で通常の水晶精度で送信したとしよう。水晶は5-10PPM程度とすれば6-12KHzのずれが出てくることになる。 送信側と受信側が逆方向にずれれば、最大24KHzとなるから受信音が歪んだり、スケルチがバサバサ閉じたり、交信できなくなる

この変動と誤差はモードによって影響が大きく変わってくる。また受信、送信の違いでも変わってくる。
一番変動の影響が大きいのはCW/SSBなどの受信ビートで復調するモードである。CWは送信周波数をそのまま周波数カウンタで測定する。 SSBはキャリアが存在しないためにそのままでは測定できないから1KHzなどの変調をかけてその周波数を測定する。 出てくる測定値はキャリア周波数はそのまま出ないで、USBモードであればキャリア周波数に変調周波数を足した物である。こ れにより誤差と変動が測定できる。同様に受信においてはCW時は受信ビート、SSBは変調周波数を復調したときの周波数(低周波)で測定する。 CWは送信時のキャリア周波数に対して、受信ビート音だけずらしたキャリアを注入してやらないと0ビートになってしまうために、 受信時の表示周波数は、注入したキャリア周波数に対してビート音分だけずれたところの周波数を表していることになる。 このビート周波数、USB側かLSB側の違い、キャリア周波数帯受信帯域の関係等でもかなりの説明になるので別の機会として今回は省略する。

 

最大定格 11/09

素子には最大定格というのがある。 例えば一般的によく使われるTO-220パッケージの0.5Aの3端子レギュレーターICを使用した場合、どの程度の容量が取れるのだろう。  まずデータシートの絶対最大定格から40V 20W 1Aなどという定格が読みとれる。 これ以下にすることは当然でわかると思うが、あと動作接合温度や熱抵抗、場合によってはフリーエアー時の最大電力が書かれている場合もある。 これらはどう考えたらいいのであろうか。以下の値はたまたま身近にあったデータシートからであるので、使用される物に合わせて値を変えて考えて欲しい。

例えば13.5V ±10%の電源に5Vの3端子ICを使うことを考えてみよう。 このICに放熱器を何も使わずに使用したとすればどれだけ電流が取れるのであろう。
電源電圧の最大値は14.85Vで最大定格以内である。対して出力電圧は4.75〜5.25Vとある。 ICにかかる電力の最大値は14.85-4.75=10.1Vに使用する電流をかけた物となる(IC内部電流は小さいので無視する)

ものにより放熱器のない場合の最大電力値が書かれている場合がある。しかしこれは周囲温度25℃の値である。 真夏の温度や発熱物で周囲温度が高かったりすれば、当然定格値はもっと下がってくる。 これについてはデータシートに電力低減のグラフが記載されている場合がある。(Pd−Ta特性)  これによると周囲温度50℃で放熱板がない場合は約1W弱である。(最大20W取れても放熱器がないとわずかこれだけである)
と言うことは 1W/(14.85-4.75)V=0.099A  結局約100mAしか取れないと言うことになる。
また10℃/Wの放熱器を使用した場合はグラフより約5Wと読み取れるから 約500mAまで取れる。

このPd-Ta特性グラフがない場合でも、絶対最大定格から推測は可能である。 このICでは動作部接合温度(Ta)の最大値は125℃、接合周囲空気熱抵抗(Rth(j-a)) 83℃/Wとあるから

125℃(最大接合温度)−50℃(最大周囲温度)=75℃    75(℃)/83(℃/W)=0.90W

すなわち 最初のグラフで読みとった値は実は0.9Wが正しく、約90mA程度しか取れないということである。
同様に10℃/Wの放熱器を使った場合、接合−ケース間熱抵抗(Rth(j-c)) 6.25℃/Wとあるから

    125℃(最大接合温度)−50℃(最大周囲温度)=75℃    75℃/(10℃/W +6.25℃/W)=4.61W

5Wと読みとったグラフは実は4.61Wとなる。従って電流は456mAとなる。

取り出せる電流を多くしたい場合は放熱を良くするのはもちろんであるが、取り出す電流が一定しているので有れば、 入力の最低電圧に気をつけて直列に抵抗を入れ、電圧降下させてICへの負担分を減らす方法が取れる。 通常の3端子ICの入出力電位差は2V程度必要であるから、入力電圧は7V以上あればOKである。 例えば100mAの電流が流れるので有れば、この抵抗で約5V電圧降下させるように50Ω以下とする。この場合入力の最低電圧は13.5V -10%で 12.15Vである。  5V降下するとICの入力電圧は7.15V。少し足らないぐらいである。
結果ICにかかる最大電力は(14.85-5-4.75)V x 0.1A=で0.51Wとなる。当然直列抵抗には0.5Wの消費負担となる。
ICへの負担は減っているが、総発熱量は変わらず、抵抗の発熱は周囲温度の上昇となるから放熱には注意する必要がある。  

 

最大定格(2) 12/10

上記のことから大電力の高周波パワーアンプなどの条件について考えてみる。
HF帯の100W出力のアマチュア無線機に使われているTRの電力損失は、 効率の悪いところで約40%程度と見積もったとして、約150W程度の電力損失である。(入力250W−出力100W)。 ここで使用されている素子の定格データは、たとえば絶対最大コレクタ損失 Pc=150Wなどと書かれている。 プッシュプルだから最大損失は300Wにも及ぶ。これだと一見、パワー的には余裕たっぷりの様に見える。

定格シートに書かれてある素子の電力(Pc)の最大定格は、理想的な条件において使用されている素子のパッケージの熱抵抗(Rth-c)と、 最大接合温度(Tj、大抵は175℃)で決まる。 Pc=150WのTRのパッケージの熱抵抗は

(175℃−25℃)/150W=1.0℃/W    

すなわちパッケージ自身の熱抵抗が1.0℃/Wであるということを示しているにすぎない。 実際にはこの値に取り付け面、方法の熱抵抗と、放熱器の熱抵抗が加わる。定格に書かれてある値はこれらが0としての値であり、実現不可能の値である。 先の最大定格ではこれらの条件を無視して説明した。 3端子IC程度の電力では、パッケージ自体や放熱器の熱抵抗が大きく、比較的影響が少ないからである。 しかし大電力素子のパッケージは熱抵抗が小さくなっているために、これらの取り付けの熱抵抗が無視できない。 たとえば放熱器と取り付けの熱抵抗とを合わせて同じ程度(1.0℃/W)あったとすれば最大電力損失は75Wと半分になってしまう。 しかもこれは25℃のときである。これでは常温でぎりぎり、温度が少しでも上がると足りない。
周囲温度を50℃と見積もれば、

(175−50)/(1+1)=62.5Wである。

プッシュプルだから2個合わせても125W。したがって総合計の熱抵抗を1.7℃/W程度に抑える必要がある。 取り付け面の密着性をあげるためにシリコングリスを使い、0.5℃/W程度以下の大きな放熱器、冷却構造が必要になってくるのである。 さらに取り付け面の平面性、密着性が非常に大事になってくる。シリコングリスの塗布ですこしでも空気が入るとだめである。

逆に損失がわかっていれば、たとえば上記の例では素子1個あたり75Wであるから、パッケージの熱抵抗から

175℃− (75℃ * 1.0℃/W)=100℃  

すなわちパッケージの表面温度が100℃が限界であるというこになる。 これがたとえば効率が50%程度とよくなると、総合熱抵抗は2.5℃/Wまで許容できるし、表面温度は125℃までということになる。

 

スミスチャート 01/27 2001

スミスチャートは高周波を扱う者にとっては必須のツールである。いろいろな使い方、換算ができ非常に便利なものである。 多くの専門書にも使い方が書かれてあり、webでも丁寧に解説されていたりする。 基本的な使い方についてはそれらを見ていただくとして、いくつか思うところを書いてみたい。理解の参考になればと思います。

スミスチャートには抵抗円、リアクタンス円の目盛りがあり、これはそもそもインピーダンスで表すことを目的としたチャートである。 当然アドミッタンスで表現する事も考えなければならないが、私が学校で習った頃はアドミッタンスに換算する場合、 中心から点対称の位置(180度回転)の目盛りを読むことになっていた。 点対称の位置がちょうど逆数になるように書かれたチャートだからである。 しかし回路で直列、並列が入り交じっている場合にこれは非常に面倒なことである。 現在はこんな換算をするよりも、最初からアドミッタンスの目盛りも同時に記入したもの、イミッタンスチャート(RCAの実用新案)が用いられることが多い。 もちろんスミスチャートも用いられる。 目盛りが多くてちょっと見にくい所もあるが、使うにはこちらの方が遙かに便利である。

まずチャートの置き方についてはインピーダンス∞を下に置くか、右に置くかの2通りの方法が多い。これは置き方だけの問題である。
通常使うダミーなどではほとんどの場合、整合させるためにチャートの中心点まで各素子値を変化させて回転させている。 そのために目的のインピーダンス値まで直接回転させればOKと考えがちである。
整合とは供給側、負荷側を含めた電流ループが実数になることである。 整合させる両者(負荷側、信号源)のインピーダンスをそれぞれネットワークアナライザなどで測定した場合、 整合させるためにはこの両者は複素共役(抵抗が同じでリアクタンスが反対)の関係でなければならない。 すなわち接続点から両者を見た場合、ちょうどミラーの関係である。チャート上では中心軸の線対称点である。 ダミーなどは実数分だけだから意識しないが、複素共役のところまで回転させるのが本来の整合である。

解説書の中にはリアクタンスやサセプタンスでの回転方向が、通常とは逆に回転させて解説している場合があり、混乱を覚える場合がある。
まず負荷のインピーダンスやアドミッタンスに対して、順次各素子が入った結果で見た場合にどう見えるかを基本とする。 インピーダンスの場合(直列挿入)、Lは時計方向、Cは反時計方向に回転する。アドミッタンスの場合(並列挿入)はその逆である。 チャートの置き方によるのであるが、Lでは上または右、Cでは下または左と覚えておいてもいいと思う。
例えばTRがあり、この入出力を整合させる時普通に考えた場合、 入力側はTRの入力インピーダンス点から信号源に向けてチャート上を順次回転させて最終的に整合させると考える。 この場合の最終点、信号源は多くの場合50や75Ωの実数だから、上で述べたように回転させた結果にミラーの関係は考えなくて良い。 ミラーしても同じ位置である。
出力側はまずTRの出力側インピーダンスがあり、ここを起点として最終的に負荷の所(の共役点)までもっていきここで整合させる。 または最終の負荷からTR側に向かって逆向きに入れていき、TRに対して複素共役の位置に持ってきてここで整合させる。

しかし起点として最初から複素共役点を考え(起点で整合を考えた場合)、最終点のインピーダンス点そのものに持ってくるように考えると、 最初からすでにミラーされているわけだから、LやCでの回転方向が逆(ミラー)になる。 この辺りを充分理解した上で、どの位置を起点としどこで複素共役を考えるか、 自分なりの整合方向とそれに合った回転方向を決めないと混乱して使えなくなってしまう。 この辺りが私や後輩も混乱したし、初めて使おうとする人たちがまず戸惑うところではないだろうか。

 

変調と復調 03/04 2001

H3E(A3H,単側波帯全搬送波)モードは別名AME(AM Equivalent)とも呼ばれ、A3E(A3、両側波帯全搬送波)と同じ検波回路で復調できる。 発生方法と復調の手軽さから古くからアマチュア無線機や業務用無線機のAMモードとして使われてきた。しかしこのモードの復調時の歪みは悪評高い。 送信機の変調における問題はAMの項を参照いただくとして、受信機の復調時において生じる歪みについて考えてみる。

 

左上の図はAM変調のベクトル図を表したものである。黒の矢印はキャリア(搬送波)、赤はUSB成分、青はLSB成分である。 キャリアは早い周期(キャリヤ周波数)で回転しており、その上に乗っているサイドバンド(側波帯、USB,LSB成分)はゆっくりとした周期 すなわち変調周波数でゆっくり回転しているがUSBとLSBでは方向が逆である。
変調は乗算の結果であるから、キャリアの位相が変化していくと、各サイドバンド成分も当然キャリアの位相に応じた位相変調を受ける。 すなわちキャリアのベクトル線の延長上から、さらに変調による位相の回転が加わることになる。 従ってこれらの変調による位相変化とキャリアの位相回転とが加わった場合、 同じ向きに回転するとキャリアに対して位相が進み、すなわち高い周波数成分(USB)となり、逆方向だと位相が遅れLSB成分となる。

AM両側波帯の場合は位相変調がちょうど逆回転で打ち消し合うために、合成されたベクトルはいつもキャリアの延長線上の加減算にしかならない。 キャリア自身は位相回転をしているが、変調の合成成分はいつもキャリアのベクトル線上にあり、 変調の強弱でベクトルの絶対値に対しての加算もしくは減算となり、ここでキャリア量の絶対値に対して変調成分合成の絶対値が越えなければ、 キャリア自身は位相の逆転を起こさない。すなわちキャリアに振幅変化だけを起こしていることになる。
ダイオードにより片側をばっさり切ってしまっても、この条件さえ崩さなければ変調成分がすべて残っているから、 エンベロープ(包絡線)検波することにより復調できることになる。
キャリアの位相が逆転しない条件とは、

キャリアの絶対値>=変調成分合成の最大値

LSB、USBの側波帯がキャリアに対して1/2までであり、すなわちサイドバンド成分はそれぞれ1/4の電力で、 これを越えるとキャリアの位相が逆転し片側だけの検波では急激に歪む事になる。100%変調の条件である。

左下の図はLSB側のサイドバンドをフィルターなどで除去した場合、すなわちUSBのH3E(A3H)である。 LSBによる位相の打ち消しがないために、キャリアに対してはさらに位相回転が加わる。
ダイオード検波で片側をばっさりと切り捨て振幅変化だけで復調している場合、変調成分が大きくなると位相変化の成分が無視できなくなりこれが歪みとなる。 キャリアの絶対量が圧倒的に大きい場合(変調が浅い)はあまり位相歪みを受けない。乗算による位相変調を何ら補償していないからである。 受信側による問題であり、復調器自身がH3Eモードに完全には適合できていないということである。
送信側の変調としてはキャリアの位相が逆転しない条件で取ると、キャリアとサイドバンドの絶対値が同じまで許される事がわかる。 100%変調時はSSBの2TONE波形と同じ形で、繰り返し周期が変調周波数である。
2TONE波形の片側をエンベロープで検波しても正弦波は得られず、位相変調を受けて歪みが発生していることがわかるであろう。
さらに受信機のフィルター特性がキャリアに対してかかって減衰を起こすと、キャリア成分はどんどん減ってくるから、 位相回転による歪みの増加、100%変調を容易に越える現象が起きることになる。これらはすべて受信側の問題である。

SSBの場合はH3E(A3H)からさらにキャリアを除去する。見かけ上は上記の赤もしくは青のサイドバンド成分が回転しているだけとなる。 しかしこの変調成分はキャリアとの乗算の結果でできているから、変調による回転にさらにキャリアによる回転を受けて、 キャリア+変調周波数、またはキャリア−変調周波数で回転していることになる. ここでプロダクト検波などで、元のキャリアと同等の回転を持ったものを乗算してやればキャリアによる回転は除去される。 すなわち元の変調成分が歪みなく復調される。元のキャリアに対して少し回転周期がずれたキャリアを乗算した場合、 元の変調成分の回転にずれの分だけ位相回転が加算される。 すなわちちょっと同調をずらして復調している場合で位相歪みが出てくる。
H3E(A3H)の場合でもキャリアに同期してSSBと同じ乗算で検波してやれば、位相変調による歪みは除去され元の変調成分が得られる。

ここから話は変わるが、AM(A3E,H3E)の送信機で過変調、すなわち100%の変調を越えてしまった場合はどうなるのであろうか。
上下の図で100%を越えた場合はベクトルの反転が起きる。この状態はダイオードなどによる復調では受信音が急激に歪む。 しかしこれは変調成分が多くなっているだけで、受信側にてキャリアに相当するものを増やしてやればいいことである。
送信機での乗算による変調後の直線性が確保できていれば、100%変調を越えたこと自体では電波の広がりになるような歪みは発生しない。 DSBまたはSSB波の低減搬送波のモードと同じ状態である。よく言われる過変調による電波の広がり(占有帯域幅の広がり)は、 送信機自身のIMD発生(上下直線性のリミット、変調器自身の歪み)などに起因するものである。
H3E(A3E)送信機ではもがついて聞こえるが、100%を越えた事自体での歪みではない。 H3E(A3H)の場合でもSSBと同じ乗算で検波してやれば、位相変調による歪みは除去されるし100%を越えても元の変調成分が得られる。 同期を取って復調するためキャリアを少し漏らしているR3E(A3a、単側波帯低減搬送波)SSBとの区別がつかなくなるが・・・ 

 

信号源の不整合 10/28

負荷と同軸ケーブルなどの間で、インピーダンスの不整合がおきれば定在波が起きます。このあたりはよくご存じの方も多いと思う。
それでは信号源インピーダンスと同軸ケーブルの間に、インピーダンスの違いがあればどうなるのでしょうか?
たとえば信号源のインピーダンスが非常に低い場合、負荷側からみると同軸を通してショートしているのと同じです。 ものの本によっては、負荷側の反射と信号源側の反射が行ったりきたりするなどと書かれています。

確かに信号源インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスが一致しなければ、ここで反射波を生じます。 しかしここで生じる反射波は進行波と同じ方向に向かうため、この両者はいつも同じ位相差で進行し、 信号源からの距離による電圧の変化、すなわち定在波は生じません。

負荷側からみると伝送線路の先がショートされ長さにより見えるインピーダンスが変わりますので、 負荷端における電圧、電流は変化します。 これと前述の信号源で発生する反射波による電圧電流の大きさの変化とは同じ事を表しています。

伝送線路に生じている定在波は、伝送線路と負荷との間での不整合によるもので、信号源との間の不整合による反射は、 進行波との合成で電圧・電流に変化を与えます。 定在波全体の大きさ(振幅)に影響を与えますが、この定在波の最大値と最小値の比(SWR)は一定です。
負荷との間の定在波は生じていなくても、信号源と伝送線路の間の不整合は存在します。 これは伝達する信号の電圧や電流の変化となって現れます。 大電力の増幅器などの場合は信号源側の負担となります。

たとえばHFやVHF帯の終段パワーアンプなどの設計では、負荷インピーダンスを決めて設計します。 しかしこのインピーダンスは増幅器側から見たインピーダンスであり、負荷側からみたインピーダンスではありません。 その設計された電力が取れる負荷インピーダンスに合わせているに過ぎません。 増幅器側はほとんどの場合非常に低いインピーダンスとなります。これは定電圧電源などの電力供給と同じ考え方です。
従って決して信号源と伝送路は整合していません。しかし増幅器側からみたインピーダンスが設計値から大きくずれると負担になります。
信号源と伝送路、負荷のインピーダンスがすべて一致すれば、電圧は信号源の1/2となります。

 

デジタル信号の伝送 10/28

高速デジタル信号の波形は、非常に速い立ち上がり、立ち下がりの時間を持っています。速くなければ高速伝送はできません。 一般には10倍以上の高調波を含んでいます。
急峻に電圧が立ち上がるということはそこに高い周波数の高調波成分を含んでいるということであり、 この信号を伝達する配線が長くなった場合には、この高い周波数成分に対して伝送線路の長さが無視できなくなり、 定在波を生じます。
その結果周波数成分ごとにインピーダンスの変化を起こり、特性インピーダンスとの不整合が起きます。
一方、波形の1/0に当たる一定部分は直流成分ですから、特性インピーダンスは存在せず、受け側の抵抗と伝送線路の配線抵抗だけになります。 つまり周波数成分ごとに反射係数が変化するために、波形の立ち上がり下がりの部分にオーバーシュートなどの現象が現れます。

デジタル回路などにおける電圧の受け渡しは、低インピーダンスでの送出(またはそれに近い)と、高負荷抵抗で受け、電圧を落とさない電圧伝送です。 これは伝送線路による伝送の考え方からすると電圧全反射の状態です。
従ってここに高速のデジタル信号を伝送すれば、 配線長によっては高い周波数成分に定在波の影響がでるのは当然のことです。通常、配線長が無視できるのは波長に対して1/10以下であり、10倍の高調波を含む波形は1/100λ以下でないと配線長の影響が出てくることになります。当然短縮率を考える必要もあります。