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Q
整合
ミキサー
ダイオード
逆回復時間
アドミッタンス
100dB
CRL
巻数比
ゲイン
周波数変動
最大定格
最大定格(2)
スミスチャート
変調と復調
ダイオードは基本である。そのあまり知られていない実態、動作について。信号の切り替えにダイオードスイッチがよく使われるが、 これに適したダイオードとは何か。 通常考えられるのは、ON時の動作抵抗。OFF時の容量(アイソレーション)である。 高周波のバンドスイッチに使われる小ダイオードは、小信号の切り替えに適している。 高周波電力の切り替えには良く電力用PINダイオードが使用される。 ここまではご存じの方も多いだろう。それではショットキーダイオードを使えばどうだろう。2つの要件は満たしてる。 しかし実際には適さない。 何が違うのであろうか。 高周波電力切り替えに使われるPINダイオードだが、このダイオードに流すバイアスの直流電流は通常数十mAから2-300mA程度である。
対してこれに通す高周波電力は50Wもざらである。50Ωの負荷に流れる高周波電流は、50Wであればちょうど1A、ピークで約1.4A、
どうして整流しないのであろうか? PINダイオードが使われる理由は先の2条件に比較的適していることと、逆回復時間が比較的遅いことにある。
条件さえあえばPINでなくてもなんでもいい。V/UHF帯で必要な条件に合ってるだけのことである。
以前、外国製のダイオードをフロントエンドに使うことがはやったようだが、本当に適していたのかどうか実験していないので私は知らない。
SGなどを使わないで簡単に測定して判断する方法をいずれ書くので、いいダイオードが見つかれば私にも教えて欲しい。
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ダイオードで述べた、逆回復時間を測定する方法について。 接続は 低周波発振器 -- 被測定ダイオード -- 負荷抵抗(数KΩ程度) 発振器は数kHzから数十kHz(適当)の矩形波にして、出力レベルはできるだけ高く(2-3VP-P以上)する。これで整流動作を確認してみる。 オシロは負荷抵抗またはダイオードの両端の電圧を見る。入力の矩形波でトリガをかけるといい。 ダイオードは最初は一般電源整流用のものが現象がよくわかっていい。具体的な波形は書かないが、 思っていた理想的な整流動作とは違う物が見られる。やってみられるといい。 ダイオードがONからOFFになった瞬間の動作がこのダイオードの逆回復時の動作である。この時間を見ているとダイオードの速度がよくわかる。
遅い物ほど低い周波数でのバンドスイッチに適している。すなわち整流動作が間に合わなくなり、結果として歪みなく大きな信号を伝達できるのである。 一般の小信号バンド切り替えのダイオードの場合はこの時間がほとんど見えないが、それでも多少とも見える物がある。 必要な容量は通す高周波電流(例えば10Wなら0.5A、100Wなら1.4A)が充分通せるもの。ピーク電流にも注意。動作抵抗による損失は、 例えば1Ωで50Ωのラインなら2%の電力に充分耐える物が必要である。ただし整流動作を始めたらこんな電力容量ではとても済まない。 この方法で片っ端から測ってみたことがあるが、小信号のバンドスイッチダイオードでも使える物はかなり少ない。 また整流ダイオードを測ってみると、一般に日本製品がロット毎のバラツキはあるが比較的揃っているのに対し、 外国製のダイオードは非常にバラツキが大きく何倍にもばらついた。最近の部品はどうか知らないが、だから私は外国製の部品はあまり信用しない。 アイソレーションや動作抵抗が低い、動作の遅い、いいダイオードが見つかったら、直流バイアス電流をできるだけ流すこと。
これにより逆回復時間も長くなるし、ON時の動作抵抗も下がる。歪みもロスも発熱も減る。 |
個々の特性ではなく一般論であるが、100dBという値を得る事は限界に近い事が多い。 イメージ的には 40dB
=なんとか、60dB= 及第 80dB=優秀、100dB=限界点といった感じである。 受信ダイナミックレンジ。いまや有名であり古くは60dB程度のものや、優秀でも80dB程度であったが、 最近のものは一部のモービル機を除きほとんどのメーカーが100dB超を唄っている。実際にローバンドでは60dBなどでは使い物にならない。 100dBでもATTが欲しい時がある。 イメージ比。特にアップコンバージョンのHF機は、そのイメージが2mやFMラジオ帯にある。 受信機のノイズフロアを-130dBmとすればカタログ値の70dBや80dB程度のイメージ比では、-50dBm以下、Sメーターでいうと S9+20dB程度の信号でイメージが聞こえることになるため一般に100dB以上必要となる。 IF妨害も同様であるがこれは固定周波数であるためにあまり問題がでないが、それでも逆に命中したときは逃げられない。 フィルターアイソレーション。選択度を決めるIFのフィルターの帯域外の減衰量は、最低70dB程度から、優秀なフィルターで90-100dBに及ぶ。 実装時にこのフィルターの性能を出すためには、入出力間で90-100dB以上のアイソレーションを必要とする。 さらにAM/SSB/CWのモードでダイオードスイッチなど切り替えるとすれば、狭い帯域フィルター使用時は、 使わない広いフィルターをそれ以上のアイソレーションで分離しなければならない。 低いと通り抜け現象(CWなどで離調しても高い音でずっと信号が聞こえる)となる。一般にルーフィングフィルターなどでも80dB程度以上は必要である。 AGCダイナミックレンジ。 メーターが振れ始める信号から強力な信号まで100dB以上の制御が必要である。 足らないと強力な信号を受信したときAGCの制御が効かない。Sメーターで見ているとある強度以上で急にメーターの振れが伸びる。 音声などの歪みで聞こえる。(AGCと関係するメーターも同じ、S0から 9+60dBまでは90dB程度ある) 局発漏洩。DBM使用などで+10dBmなどの大電力となっている。 法的にはアンテナ端4000uuWであるから-54dBmで65dB抑えればいいことになるが、このレベルは例えば微弱無線機に近いレベルであり、 これに大きなアンテナが付いたものと考えてみるといい。アップコンバージョンのHF受信機では第1局発がFM、TV帯であり、 その高調波などで近くのTVなどに妨害がでる。-80dBm程度は必要である。 CWキーイング CWのキーアップ時の漏れ。70や80dBではローカル局でスペースウエーブとして聞こえてしまう。 送信機のS/N・C/N 送信機の広帯域アンプで述べたように-90から100dBm/Hz以上欲しい。 これは3KHz帯域幅換算で-65dBmから-55dBmである。送信パワーに対して100dB以上落とすことが必要である。 ノイズブランカ パルス性のノイズに対してゲートを閉じてノイズを通さないようにするが、
メーターはあまり振っていなくてもパルス性のノイズはレベルが高い。
このゲートのアイソレーションが例えば60dB程度だと、ピークが-70dBm(Sメーターで9強)以上のノイズがブランク時に残って聞こえてくる。
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上記(巻数比)のFETと条件から取れるゲインを推測してみる。 データシートから見ると、このFETの順伝達アドミッタンスyfsのtypical値は14mSである。 yfs x Zout / n = 14mS x 50Ωx4^2 / 4 = 2.8倍 = 8.9dB さらに入力側は70Ω程度で、ミスマッチによる1.5dB程度の電圧上昇があるから 計10dB強程度と計算できる。 低い周波数では無視したが、周波数が高くゲインが高くなってくると、 入出力のアドミッタンスがそれぞれゲインを制限する要素となって効いてくる。 巻数比による負荷と、出力アドミッタンスとが整合した時が出力側で取り得る最大ゲインである このFETで良く使われるパラレル接続の場合は、計算上ゲインはそれぞれ約6dB上昇するが、2個並列で入力側インピーダンスが下がるために、
入力電圧は1.5dB程度下がるから、それぞれ13.5dB と15.5dBとなる。 実際の使用状態ではこれに入出力での損失などが加わり、さらに素子自体のバラツキが加わる。 例えばyfs=14mSとしたがデータシートではminimum値は10mSとある。従ってこれだけでも約3dBの変化がある。 さらにFETは一般に低温でゲインが上がり、高温では下がってくる。これはドレイン電流の曲線が温度により傾斜が変わってくるためである。 一般にFETでは温度による変動は2-4dB程度はざらである。 以上、ゲート接地を中心とした非常にポピュラーで単純な例で示してみた。
J-FETやMOS FETによるIF AMPなどではAGCやALCなどのゲイン調整が加わり、ゲートによる違い、
さらにゲインを大きく変えた場合の動作状態の変化についても考慮する必要がある。
これについてはまたの機会に述べたいと思う。
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上記のことから大電力の高周波パワーアンプなどの条件について考えてみる。 定格シートに書かれてある素子の電力(Pc)の最大定格は、理想的な条件において使用されている素子のパッケージの熱抵抗(Rth-c)と、 最大接合温度(Tj、大抵は175℃)で決まる。 Pc=150WのTRのパッケージの熱抵抗は (175℃−25℃)/150W=1.0℃/W すなわちパッケージ自身の熱抵抗が1.0℃/Wであるということを示しているにすぎない。
実際にはこの値に取り付け面、方法の熱抵抗と、放熱器の熱抵抗が加わる。定格に書かれてある値はこれらが0としての値であり、実現不可能の値である。
先の最大定格ではこれらの条件を無視して説明した。
3端子IC程度の電力では、パッケージ自体や放熱器の熱抵抗が大きく、比較的影響が少ないからである。
しかし大電力素子のパッケージは熱抵抗が小さくなっているために、これらの取り付けの熱抵抗が無視できない。
たとえば放熱器と取り付けの熱抵抗とを合わせて同じ程度(1.0℃/W)あったとすれば最大電力損失は75Wと半分になってしまう。
しかもこれは25℃のときである。これでは常温でぎりぎり、温度が少しでも上がると足りない。 (175−50)/(1+1)=62.5Wである。 プッシュプルだから2個合わせても125W。したがって総合計の熱抵抗を1.7℃/W程度に抑える必要がある。 取り付け面の密着性をあげるためにシリコングリスを使い、0.5℃/W程度以下の大きな放熱器、冷却構造が必要になってくるのである。 さらに取り付け面の平面性、密着性が非常に大事になってくる。シリコングリスの塗布ですこしでも空気が入るとだめである。 逆に損失がわかっていれば、たとえば上記の例では素子1個あたり75Wであるから、パッケージの熱抵抗から 175℃− (75℃ * 1.0℃/W)=100℃ すなわちパッケージの表面温度が100℃が限界であるというこになる。
これがたとえば効率が50%程度とよくなると、総合熱抵抗は2.5℃/Wまで許容できるし、表面温度は125℃までということになる。
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H3E(A3H,単側波帯全搬送波)モードは別名AME(AM Equivalent)とも呼ばれ、A3E(A3、両側波帯全搬送波)と同じ検波回路で復調できる。 発生方法と復調の手軽さから古くからアマチュア無線機や業務用無線機のAMモードとして使われてきた。しかしこのモードの復調時の歪みは悪評高い。 送信機の変調における問題はAMの項を参照いただくとして、受信機の復調時において生じる歪みについて考えてみる。
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AM両側波帯の場合は位相変調がちょうど逆回転で打ち消し合うために、合成されたベクトルはいつもキャリアの延長線上の加減算にしかならない。
キャリア自身は位相回転をしているが、変調の合成成分はいつもキャリアのベクトル線上にあり、
変調の強弱でベクトルの絶対値に対しての加算もしくは減算となり、ここでキャリア量の絶対値に対して変調成分合成の絶対値が越えなければ、
キャリア自身は位相の逆転を起こさない。すなわちキャリアに振幅変化だけを起こしていることになる。 キャリアの絶対値>=変調成分合成の最大値 LSB、USBの側波帯がキャリアに対して1/2までであり、すなわちサイドバンド成分はそれぞれ1/4の電力で、 これを越えるとキャリアの位相が逆転し片側だけの検波では急激に歪む事になる。100%変調の条件である。 左下の図はLSB側のサイドバンドをフィルターなどで除去した場合、すなわちUSBのH3E(A3H)である。
LSBによる位相の打ち消しがないために、キャリアに対してはさらに位相回転が加わる。 SSBの場合はH3E(A3H)からさらにキャリアを除去する。見かけ上は上記の赤もしくは青のサイドバンド成分が回転しているだけとなる。
しかしこの変調成分はキャリアとの乗算の結果でできているから、変調による回転にさらにキャリアによる回転を受けて、
キャリア+変調周波数、またはキャリア−変調周波数で回転していることになる.
ここでプロダクト検波などで、元のキャリアと同等の回転を持ったものを乗算してやればキャリアによる回転は除去される。
すなわち元の変調成分が歪みなく復調される。元のキャリアに対して少し回転周期がずれたキャリアを乗算した場合、
元の変調成分の回転にずれの分だけ位相回転が加算される。
すなわちちょっと同調をずらして復調している場合で位相歪みが出てくる。 ここから話は変わるが、AM(A3E,H3E)の送信機で過変調、すなわち100%の変調を越えてしまった場合はどうなるのであろうか。 |
負荷と同軸ケーブルなどの間で、インピーダンスの不整合がおきれば定在波が起きます。このあたりはよくご存じの方も多いと思う。 確かに信号源インピーダンスと伝送線路の特性インピーダンスが一致しなければ、ここで反射波を生じます。
しかしここで生じる反射波は進行波と同じ方向に向かうため、この両者はいつも同じ位相差で進行し、
信号源からの距離による電圧の変化、すなわち定在波は生じません。
負荷側からみると伝送線路の先がショートされ長さにより見えるインピーダンスが変わりますので、 負荷端における電圧、電流は変化します。 これと前述の信号源で発生する反射波による電圧電流の大きさの変化とは同じ事を表しています。 伝送線路に生じている定在波は、伝送線路と負荷との間での不整合によるもので、信号源との間の不整合による反射は、
進行波との合成で電圧・電流に変化を与えます。
定在波全体の大きさ(振幅)に影響を与えますが、この定在波の最大値と最小値の比(SWR)は一定です。 たとえばHFやVHF帯の終段パワーアンプなどの設計では、負荷インピーダンスを決めて設計します。
しかしこのインピーダンスは増幅器側から見たインピーダンスであり、負荷側からみたインピーダンスではありません。
その設計された電力が取れる負荷インピーダンスに合わせているに過ぎません。
増幅器側はほとんどの場合非常に低いインピーダンスとなります。これは定電圧電源などの電力供給と同じ考え方です。 |
高速デジタル信号の波形は、非常に速い立ち上がり、立ち下がりの時間を持っています。速くなければ高速伝送はできません。 一般には10倍以上の高調波を含んでいます。 デジタル回路などにおける電圧の受け渡しは、低インピーダンスでの送出(またはそれに近い)と、高負荷抵抗で受け、電圧を落とさない電圧伝送です。
これは伝送線路による伝送の考え方からすると電圧全反射の状態です。 |